Tasuke HubLearn · Solve · Grow
#AI

Google Agent Development KitとAWS Strands Agentsの徹底比較

GoogleのAgent Development Kit(ADK)とAWSのStrands Agentsをアーキテクチャ・実行環境・運用ガバナンス・ユースケースから深掘りし、選定のポイントをまとめます。

時計のアイコン23 November, 2025
TH

Tasuke Hub管理人

東証プライム市場上場企業エンジニア

情報系修士卒業後、大手IT企業にてフルスタックエンジニアとして活躍。 Webアプリケーション開発からクラウドインフラ構築まで幅広い技術に精通し、 複数のプロジェクトでリードエンジニアを担当。 技術ブログやオープンソースへの貢献を通じて、日本のIT技術コミュニティに積極的に関わっている。

🎓情報系修士🏢東証プライム上場企業💻フルスタックエンジニア📝技術ブログ執筆者

1. フレームワークの位置付け

項目 Google Agent Development Kit (ADK) AWS Strands Agents
目的 Google Cloud上でエージェントアプリを設計・デプロイするためのSDKとテンプレート Amazon Bedrock/Strands Cloud上でグラフベースのエージェントを構築・実行
主な言語 Python / TypeScript Python
実行環境 Google Cloud Functions, Cloud Run, GKE, Vertex AI Agents ローカル(CLI)、Strands Cloud、Bedrock Agent Runtime
モデル統合 Gemini, Google Search Grounding, Vertex AI チューニング済みモデル等 Amazon Bedrock(Titan, Claude, Llama等)+OpenAIやOSSモデルを自前で接続可
監査・権限 Cloud Logging, IAM, Audit Logs, Context Manager IAM, CloudWatch, CloudTrail、StrandsログAPI
提供形態 OSS + Google公式テンプレート OSS SDK + マネージド実行環境
ベストマッチ

最短で課題解決する一冊

この記事の内容と高い親和性が確認できたベストマッチです。早めにチェックしておきましょう。

2. Google Agent Development Kit (ADK)

2.1 アーキテクチャ

  • Agent Service: HTTP/Eventsで呼び出し可能なマイクロサービス。Cloud FunctionsやCloud Runでホスト。
  • Task Queue: Cloud TasksやPub/Subを利用して長時間実行タスクを分離。
  • Tooling: Gemini APIs、Search Grounding、Drive/Sheets/Workspace API等を「Tool」として宣言。
  • Policy Layer: IAMロール・Context Tokenで権限やデータ境界を定義。
[Client] -> [Cloud Run (ADK Agent)] -> [Tool Router] -> {Gemini, Search, Workspace API}
                                \-> [Cloud Tasks] -> [Worker]

2.2 特徴

  1. Gemini統合: Gemini 1.5/2.x向けのStructured Outputテンプレートが同梱され、Tool呼び出しとの連携が容易。
  2. Google検索/Workspaceグラウンディング: SearchやWorkspaceを安全に呼び出すためのContext Managerが提供され、社内ドキュメントに対するエージェントを迅速に構築可能。
  3. Opsテンプレート: Terraform/Cloud Build/YAMLでCI/CDを定義するスタータープロジェクト。テスト・監査ログ・ヘルスチェックが整備されている。
  4. 拡張性: Vertex AI Agent BuilderやDialogflow CXとの接続、GKEでの高トラフィック対応などGoogle Cloudサービスとの親和性が高い。

2.3 ユースケース

  • Google Workspaceドキュメントにアクセスし、要約/編集を自動化する社内アシスタント。
  • Cloud Run上で動くERPワークフローエージェント:Gemini+Sheets/BigQueryでトランザクションを処理。
  • Search Grounding+Vertex AI Searchでナレッジベースを横断するRAGエージェント。

2.4 運用ポイント

  • IAMの境界を厳格に設定し、Service Account鍵ではなくWorkload Identityで認証。
  • Cloud LoggingでTool呼び出しとユーザー入力を分離して記録。削除要件に応じたLog Router設定が必要。
  • Cloud BuildやGitHub Actionsでmypy/ruff/pytestを走らせ、ADKテンプレートのテストスイートを活用。

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

3. AWS Strands Agents

3.1 アーキテクチャ

  • Graph DSL: @strand デコレータや GraphBuilder でノード(LLM、ツール、条件分岐)を宣言的に接続。
  • Runtime: strand dev でローカル実行し、CloudWatchログやStrict Modeで挙動を確認。strand deploy でBedrock Agent Runtime/Strands Cloudにデプロイ。
  • Tool Integration: Bedrock Model Invocation、Lambda、Step Functions、API Gateway、S3等をノードとして呼び出し。
  • Observability: Strands CLIから実行履歴やイベントを取得し、CloudWatch/CloudTrailと連携して監査。
from strands import Graph, llm, tool

@tool
def fetch_order(order_id: str) -> dict: ...

@llm(model='bedrock:claude-3')
def generate_email(order: dict) -> str: ...

with Graph() as g:
    order = fetch_order('123')
    reply = generate_email(order)

3.2 特徴

  1. Bedrockネイティブ: Titan/Claude/LlamaなどBedrockモデルを使ったエージェントをクラウドに直接デプロイできる。
  2. Graph制御: Pythonコードで分岐や繰り返しを記述し、CLIで可視化。LangChainやOpenAIより軽量なランタイム。
  3. デプロイ先の柔軟性: ローカルテスト→Strands Cloud→Bedrock Agentsと段階的にスケールでき、AWS IAMでアクセス制御が可能。
  4. 開発者体験: pip install strands-agents で導入、strand new でテンプレート生成。GitOps/CIに組み込みやすい。

3.3 ユースケース

  • BedrockベースのCSエージェント:注文照会→LLM応答→知識ベース検索をGraphで記述。
  • 製造業の故障対応フロー:センサーイベント→Lambdaツール→Bedrock推論→通知までをGraphで自動化。
  • AWS上のドキュメントRAG:S3 + Amazon Kendra + Bedrock LLMをGraphで連携。

3.4 運用ポイント

  • IAMロールをstrand deployに紐付け、ベクトルDBやAPI呼び出し権限を最小化。
  • CloudWatch LogsでGraphノード単位のレスポンスを記録。Strands CLIのstrand logsでデバッグ。
  • GitHub Actionsでstrand lint / pytestを実行し、Bedrockエージェントへのデプロイ前に検証。

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

4. 選定の着眼点

観点 Google ADK AWS Strands Agents
ベースクラウド Google Cloud AWS
モデル Gemini / Vertex AI / Search Grounding Amazon Bedrockモデル+外部API
データ統合 Workspace、BigQuery、Drive、Apigee等 Lambda、Step Functions、S3、DynamoDB 等
ガバナンス IAM + Cloud Logging/Audit Logs IAM + CloudWatch/CloudTrail
CI/CD Cloud Build / Cloud Deploy テンプレート CLI + CDK/Terraform + Bedrockデプロイ
学習コスト GCPサービスに習熟しているチーム向け AWS/Bedrockスタックに慣れているチーム向け

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

5. ユースケース比較

  • Google ADK が優位なケース

    • Workspace/Drive/Sheets/Apigee等Google製SaaSと深く連携する社内エージェント。
    • Search GroundingやVertex AI Searchを使って社内文書を横断検索するRAG。
    • GCP上の既存マイクロサービスやBigQueryを活用し、厳格な監査ログを残したい業務システム。
  • AWS Strands Agents が優位なケース

    • Bedrockモデルを使い、LambdaやStep Functionsと組み合わせた実行フローをGraphで記述したい。
    • AWS上のデータレイク(S3、Glue、Kendra)やIoTイベントをトリガにエージェントを動かす。
    • AWS IAMで厳格な権限管理とCloudTrail監査を前提にした運用。

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

6. 選定チェックリスト

  1. クラウド戦略: Google Cloudが主かAWSが主か。
  2. モデル要件: Gemini/Vertex系かBedrock系か、または両方か。
  3. 既存Ops: Cloud Build/Logging/Audit Logsを使うか、CloudWatch/CloudTrailを使うか。
  4. ツール統合: Workspace・DriveなどGoogle APIが中心か、Lambda・S3などAWS APIが中心か。
  5. 開発者スキル: GCP専門チームかAWS専門チームか。

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

7. まとめ

  • Google ADKはGemini/Workspace/Vertex AIと密接に統合され、GCP運用と監査要件を備えたエンタープライズエージェント向け。
  • AWS Strands AgentsはBedrockモデルとAWSネイティブサービスをGraph DSLで連携し、LambdaやStep Functionsと組み合わせた実行基盤を提供する。
  • いずれもOSS SDK+クラウド統合テンプレートという位置づけのため、選定は「クラウド基盤」「扱うAPI」「監査要件」「チームスキル」を起点に行うとスムーズです。

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

この記事をシェア

続けて読みたい記事

編集部がピックアップした関連記事で学びを広げましょう。

#AI Agent

Google Agent Engine vs AWS AgentCore徹底比較!エンタープライズAIエージェント開発の最適解

2025/11/26
#AIエージェント

Google AntigravityエージェントIDE統合ガイド

2025/11/26
#AI Agent

AIエージェントフレームワーク決定版比較!ADK・Strands・OpenAI Agent SDK・LangGraph徹底解説

2025/11/26
#クラウドRAG

【2025年完全版】クラウドRAGサービス徹底比較:AWS・Google・Azure・Oracle完全ガイド

2025/11/28
#AI

【2025年11月版】AI時代のコーディングツール徹底比較:VS Code、Cursor、JetBrains IDE、Google Antigravity

2025/11/23
#AI

【2025年11月版】コーディングエージェントCLI徹底比較:Gemini CLI vs Claude Code vs Codex vs Amazon Q Developer

2025/11/23