1. フレームワークの位置付け
| 項目 | Google Agent Development Kit (ADK) | AWS Strands Agents |
|---|---|---|
| 目的 | Google Cloud上でエージェントアプリを設計・デプロイするためのSDKとテンプレート | Amazon Bedrock/Strands Cloud上でグラフベースのエージェントを構築・実行 |
| 主な言語 | Python / TypeScript | Python |
| 実行環境 | Google Cloud Functions, Cloud Run, GKE, Vertex AI Agents | ローカル(CLI)、Strands Cloud、Bedrock Agent Runtime |
| モデル統合 | Gemini, Google Search Grounding, Vertex AI チューニング済みモデル等 | Amazon Bedrock(Titan, Claude, Llama等)+OpenAIやOSSモデルを自前で接続可 |
| 監査・権限 | Cloud Logging, IAM, Audit Logs, Context Manager | IAM, CloudWatch, CloudTrail、StrandsログAPI |
| 提供形態 | OSS + Google公式テンプレート | OSS SDK + マネージド実行環境 |
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2. Google Agent Development Kit (ADK)
2.1 アーキテクチャ
- Agent Service: HTTP/Eventsで呼び出し可能なマイクロサービス。Cloud FunctionsやCloud Runでホスト。
- Task Queue: Cloud TasksやPub/Subを利用して長時間実行タスクを分離。
- Tooling: Gemini APIs、Search Grounding、Drive/Sheets/Workspace API等を「Tool」として宣言。
- Policy Layer: IAMロール・Context Tokenで権限やデータ境界を定義。
[Client] -> [Cloud Run (ADK Agent)] -> [Tool Router] -> {Gemini, Search, Workspace API}
\-> [Cloud Tasks] -> [Worker]2.2 特徴
- Gemini統合: Gemini 1.5/2.x向けのStructured Outputテンプレートが同梱され、Tool呼び出しとの連携が容易。
- Google検索/Workspaceグラウンディング: SearchやWorkspaceを安全に呼び出すためのContext Managerが提供され、社内ドキュメントに対するエージェントを迅速に構築可能。
- Opsテンプレート: Terraform/Cloud Build/YAMLでCI/CDを定義するスタータープロジェクト。テスト・監査ログ・ヘルスチェックが整備されている。
- 拡張性: Vertex AI Agent BuilderやDialogflow CXとの接続、GKEでの高トラフィック対応などGoogle Cloudサービスとの親和性が高い。
2.3 ユースケース
- Google Workspaceドキュメントにアクセスし、要約/編集を自動化する社内アシスタント。
- Cloud Run上で動くERPワークフローエージェント:Gemini+Sheets/BigQueryでトランザクションを処理。
- Search Grounding+Vertex AI Searchでナレッジベースを横断するRAGエージェント。
2.4 運用ポイント
- IAMの境界を厳格に設定し、Service Account鍵ではなくWorkload Identityで認証。
- Cloud LoggingでTool呼び出しとユーザー入力を分離して記録。削除要件に応じたLog Router設定が必要。
- Cloud BuildやGitHub Actionsでmypy/ruff/pytestを走らせ、ADKテンプレートのテストスイートを活用。
さらに理解を深める参考書
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3. AWS Strands Agents
3.1 アーキテクチャ
- Graph DSL:
@strandデコレータやGraphBuilderでノード(LLM、ツール、条件分岐)を宣言的に接続。 - Runtime:
strand devでローカル実行し、CloudWatchログやStrict Modeで挙動を確認。strand deployでBedrock Agent Runtime/Strands Cloudにデプロイ。 - Tool Integration: Bedrock Model Invocation、Lambda、Step Functions、API Gateway、S3等をノードとして呼び出し。
- Observability: Strands CLIから実行履歴やイベントを取得し、CloudWatch/CloudTrailと連携して監査。
from strands import Graph, llm, tool
@tool
def fetch_order(order_id: str) -> dict: ...
@llm(model='bedrock:claude-3')
def generate_email(order: dict) -> str: ...
with Graph() as g:
order = fetch_order('123')
reply = generate_email(order)3.2 特徴
- Bedrockネイティブ: Titan/Claude/LlamaなどBedrockモデルを使ったエージェントをクラウドに直接デプロイできる。
- Graph制御: Pythonコードで分岐や繰り返しを記述し、CLIで可視化。LangChainやOpenAIより軽量なランタイム。
- デプロイ先の柔軟性: ローカルテスト→Strands Cloud→Bedrock Agentsと段階的にスケールでき、AWS IAMでアクセス制御が可能。
- 開発者体験:
pip install strands-agentsで導入、strand newでテンプレート生成。GitOps/CIに組み込みやすい。
3.3 ユースケース
- BedrockベースのCSエージェント:注文照会→LLM応答→知識ベース検索をGraphで記述。
- 製造業の故障対応フロー:センサーイベント→Lambdaツール→Bedrock推論→通知までをGraphで自動化。
- AWS上のドキュメントRAG:S3 + Amazon Kendra + Bedrock LLMをGraphで連携。
3.4 運用ポイント
- IAMロールを
strand deployに紐付け、ベクトルDBやAPI呼び出し権限を最小化。 - CloudWatch LogsでGraphノード単位のレスポンスを記録。Strands CLIの
strand logsでデバッグ。 - GitHub Actionsで
strand lint/pytestを実行し、Bedrockエージェントへのデプロイ前に検証。
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4. 選定の着眼点
| 観点 | Google ADK | AWS Strands Agents |
|---|---|---|
| ベースクラウド | Google Cloud | AWS |
| モデル | Gemini / Vertex AI / Search Grounding | Amazon Bedrockモデル+外部API |
| データ統合 | Workspace、BigQuery、Drive、Apigee等 | Lambda、Step Functions、S3、DynamoDB 等 |
| ガバナンス | IAM + Cloud Logging/Audit Logs | IAM + CloudWatch/CloudTrail |
| CI/CD | Cloud Build / Cloud Deploy テンプレート | CLI + CDK/Terraform + Bedrockデプロイ |
| 学習コスト | GCPサービスに習熟しているチーム向け | AWS/Bedrockスタックに慣れているチーム向け |
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5. ユースケース比較
Google ADK が優位なケース
- Workspace/Drive/Sheets/Apigee等Google製SaaSと深く連携する社内エージェント。
- Search GroundingやVertex AI Searchを使って社内文書を横断検索するRAG。
- GCP上の既存マイクロサービスやBigQueryを活用し、厳格な監査ログを残したい業務システム。
AWS Strands Agents が優位なケース
- Bedrockモデルを使い、LambdaやStep Functionsと組み合わせた実行フローをGraphで記述したい。
- AWS上のデータレイク(S3、Glue、Kendra)やIoTイベントをトリガにエージェントを動かす。
- AWS IAMで厳格な権限管理とCloudTrail監査を前提にした運用。
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6. 選定チェックリスト
- クラウド戦略: Google Cloudが主かAWSが主か。
- モデル要件: Gemini/Vertex系かBedrock系か、または両方か。
- 既存Ops: Cloud Build/Logging/Audit Logsを使うか、CloudWatch/CloudTrailを使うか。
- ツール統合: Workspace・DriveなどGoogle APIが中心か、Lambda・S3などAWS APIが中心か。
- 開発者スキル: GCP専門チームかAWS専門チームか。
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7. まとめ
- Google ADKはGemini/Workspace/Vertex AIと密接に統合され、GCP運用と監査要件を備えたエンタープライズエージェント向け。
- AWS Strands AgentsはBedrockモデルとAWSネイティブサービスをGraph DSLで連携し、LambdaやStep Functionsと組み合わせた実行基盤を提供する。
- いずれもOSS SDK+クラウド統合テンプレートという位置づけのため、選定は「クラウド基盤」「扱うAPI」「監査要件」「チームスキル」を起点に行うとスムーズです。
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