Google Antigravityは、Gemini 3 Proをコアに据えた“エージェント・ファーストIDE”として2025年にプレビュー提供が始まりました。本記事はAntigravityの特徴だけにフォーカスし、どのようにUIが構成され、エージェントを束ね、成果物(Artifact)を扱い、外部ツールと接続できるのかを整理します。最後に、ArtifactをGitHubへ自動同期する実用コードも紹介します。
1. Editor / Manager の二面構造
Antigravityを起動すると、左側にEditor、右側にManagerが並ぶ二面構造が現れます。
- Editor: 従来のIDEと同じショートカットでコード編集ができ、コンテキストメニューからGeminiにタスクを依頼できます。LLMを切り替える
Model Switcherと、プロンプトテンプレートを管理するPlaybookが常時表示されるため、複数エージェントの役割をその場で定義できます。 - Manager: 実行したタスクがすべてArtifactとしてタイムラインに蓄積され、スレッド単位でコメントや差分を確認できます。Artifactをピン留めしておくと、後から別のエージェントが参照して続きを書く際のベースラインになります。
このレイアウトのおかげで「コードを書く」「エージェントに指示する」「結果を確認する」という行動を同じ画面で完結できる点が最大の特徴です。
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2. マルチエージェントタイムライン
AntigravityはGemini系モデルだけでなく、他社LLMや自作ツールをToolchainとして登録できます。タスクを実行すると、Timelineに以下の情報が記録されます。
- Prompt/Response: どのエージェントがどの指示を受けたか。
- 利用モデル: Gemini 3 Pro、Gemini Flash、サードパーティーLLMなど。
- 依存関係: 先に作成したArtifactへの参照リンク。
- 所要時間とトークン: 監査・コスト管理用に表示。
Timelineはドラッグ&ドロップで並び替えられるため、複数のエージェントを「調査」「設計」「実装」「テスト」といったスイムレーンで分類し、レビュー時にシナリオの流れを説明しやすくなります。
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3. Artifactの扱い方
AntigravityのArtifactはJSON+差分情報で保存され、以下のメタデータを持ちます。
artifactId: タイムライン固有のUUIDsourceFiles: 変更されたファイルのパスと差分inputs: 参照したドキュメントやツールowner: Artifactを生成したエージェント/人間verdict: レビュー結果(Approved/Pending等)
ManagerビューでArtifactを選択すると、ファイル単位で差分を確認し、そのままApplyボタンでWorkspaceに反映できます。これはGitパッチに近い動作で、エージェントが生成した提案を最終的に人間が選別できるようになっています。
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4. セキュリティと観測フック
Antigravity自体はローカルアプリですが、以下のポイントで安全性と可観測性を担保できます。
- Sandboxed Execution: 各エージェントはSandbox内で実行され、許可したディレクトリ以外にはアクセスできません。設定は
Preferences > Agents > Permissionsで編集します。 - Audit Export: ArtifactやTimelineはJSONとしてエクスポートでき、SIEMやVertex AI Agent Builderなど外部観測基盤に送信可能です。
- Prompt Firewall: Managerから
Guardrailsを設定すると、特定のキーワードやURLを含むプロンプトを遮断し、攻撃的な入力や機密情報の流出を防げます。
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5. 実務で役立つArtifact同期コード
Antigravityが生成するArtifactは~/Antigravity/Artifacts/<project>/にJSONで保存されます(デフォルト設定の場合)。下記のantigravity-artifact-sync.mjsは、最新Artifactを監視し、一定条件を満たしたものだけをGitHub Issueに自動登録します。Antigravity単体では外部統合が限定的ですが、このようにファイルベースで連携すれば既存の開発フローへ組み込めます。
事前にnpm init -y && npm i chokidar octokit gray-matterを実行し、GITHUB_TOKEN(repoスコープ)とGITHUB_REPO(org/repo形式)を環境変数に設定してください。
#!/usr/bin/env node
import { readFile } from 'node:fs/promises';
import chokidar from 'chokidar';
import { Octokit } from 'octokit';
import path from 'node:path';
import matter from 'gray-matter';
const ARTIFACT_DIR = process.env.ANTIGRAVITY_ARTIFACT_DIR ?? path.join(process.env.HOME, 'Antigravity/Artifacts');
const { GITHUB_TOKEN, GITHUB_REPO } = process.env;
if (!GITHUB_TOKEN || !GITHUB_REPO) {
console.error('GITHUB_TOKEN と GITHUB_REPO を設定してください');
process.exit(1);
}
const [owner, repo] = GITHUB_REPO.split('/');
const octokit = new Octokit({ auth: GITHUB_TOKEN });
const watcher = chokidar.watch(`${ARTIFACT_DIR}/**/*.json`, { ignoreInitial: true });
console.log(`Watching ${ARTIFACT_DIR} ...`);
watcher.on('add', async (file) => {
try {
const raw = await readFile(file, 'utf-8');
const artifact = JSON.parse(raw);
if (artifact.verdict !== 'Approved') return; // WHY: 未承認Artifactはレビュー対象にしない
const body = formatBody(artifact);
await octokit.rest.issues.create({ owner, repo, title: `Artifact ${artifact.artifactId}`, body });
console.log(`Created issue for ${artifact.artifactId}`);
} catch (err) {
console.error(`Failed to sync ${file}:`, err.message);
}
});
function formatBody(artifact) {
const files = artifact.sourceFiles?.map((f) => `- ${f.path} (${f.status})`).join('\n') ?? 'なし';
const inputs = artifact.inputs?.map((i) => `- ${i.type}: ${i.value}`).join('\n') ?? 'なし';
const summary = matter(artifact.diff ?? '---\n').content.trim() || 'Diff preview unavailable';
return [
`## Summary\n${artifact.summary ?? '(no summary)'}`,
`\n## Files\n${files}`,
`\n## Inputs\n${inputs}`,
`\n## Diff\n\n
${summary}`,
].join('\n');
}使い方のポイント
- Antigravityの
Settings > StorageでArtifact保存先を確認し、環境変数ANTIGRAVITY_ARTIFACT_DIRに設定すると誤検出を避けられます。 artifact.verdictをフィルタ条件にすると、人間が承認したものだけをGitHubに上げられるため、ノイズが減ります。- Issue番号をAntigravityのコメントに貼り返しておけば、Antigravity側からもレビュー状況を追跡できます。
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まとめ
Google Antigravityは、IDEそのものにエージェント指揮能力とArtifact管理を組み込んだ点が最大の強みです。Editor/Managerの二面構造、マルチエージェントタイムライン、差分付きArtifact、エクスポート可能な監査ログを理解しておけば、既存のGitHubや社内プロセスとも無理なく接続できます。まずはローカル環境でエージェントの役割を定義し、Artifact同期スクリプトのような小さな自動化から導入してみてください。
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