Rustは難しすぎる、でもCは辛い...
システムプログラミングの世界でRustが覇権を握りつつありますが、学習曲線の急さや、既存のCコードベースとの連携の難しさに直面しているエンジニアも多いはずです。
「もっとシンプルで、C言語のように書けて、でもCより安全で便利な言語はないか?」
その答えが Zig です。 2025年現在、Zigはv0.14に到達し(v1.0も目前!)、Bunなどの高速ランタイムの採用事例も増え、実用段階に入っています。
Zigの決定的な特徴:Cとの「完璧な」相互運用性
Zigの最大の特徴は、C言語のヘッダーファイルを直接インポートして使える という点です。 FFI(Foreign Function Interface)の定義を書く必要すらありません。
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実践:ZigからCライブラリ(SQLite)を使う
論より証拠。ZigからCの標準ライブラリや外部ライブラリを呼ぶのがどれほど簡単か見てみましょう。
1. プロジェクト作成
mkdir zig-c-demo
cd zig-c-demo
zig init-exe2. Cヘッダーのインポート (src/main.zig)
Cの stdio.h と stdlib.h を使ってみます。
const std = @import("std");
// Cのヘッダーを直接インポート
const c = @cImport({
@cInclude("stdio.h");
@cInclude("stdlib.h");
});
pub fn main() !void {
// Zigの文字列
const msg = "Hello from Zig to C!\n";
// Cのprintf関数を直接呼び出し
_ = c.printf(msg);
// Cのrand関数を使用
const random_num = c.rand();
// Zigの標準出力で表示
std.debug.print("Random number from C: {d}\n", .{random_num});
}3. ビルドと実行
zig build runこれだけで動きます。バインディング生成ツールなどは一切不要です。
さらに理解を深める参考書
関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。
Zigの「Better C」たる所以
C言語ユーザーがZigを気に入るポイントは他にもあります。
1. 明示的なアロケータ
Zigには隠れたメモリ確保がありません。ヒープを使う関数には必ず Allocator を渡す必要があります。
var gpa = std.heap.GeneralPurposeAllocator(.{}){};
const allocator = gpa.allocator();
// メモリ確保が必要な処理にはallocatorを渡す
const list = try std.ArrayList(i32).initCapacity(allocator, 10);これにより、「どこでメモリ確保が起きているか」が完全に可視化され、メモリリークのデバッグが容易になります。
2. defer によるリソース管理
Go言語のような defer があり、リソースの解放漏れを防げます。
const file = try std.fs.cwd().openFile("test.txt", .{});
defer file.close(); // スコープを抜ける時に必ず実行される
// ...ファイル操作...3. 強力なコンパイル時計算(Comptime)
Zigは、C++のテンプレートメタプログラミングよりも遥かに読みやすく強力な comptime 機能を持っています。
コンパイル時に型や値を操作し、ジェネリクスや最適化を実現できます。
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クロスコンパイルの覇者
Zigはコンパイラとしても超一流です。
zig cc コマンドは、Clangのドロップインリプレースメントとして機能し、追加のインストールなしで あらゆるプラットフォーム向けのC/C++コードをクロスコンパイルできます。
# LinuxからmacOS向けのバイナリをビルド
zig cc main.c -target aarch64-macosこの機能のためだけに、GoやRustのプロジェクトにZigツールチェーンを導入するケースも増えています。
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まとめ
Zigは、C言語の精神を正統に受け継ぎつつ、現代的な安全性と利便性を加えた言語です。 既存のC資産を捨てずに、少しずつモダンな環境へ移行したいなら、RustよりもZigの方が近道かもしれません。
2025年、システムプログラミングの新たな武器として、Zigを始めてみませんか?
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