Pythonは遅い、でもPython以外は書きたくない
AIエンジニアにとって、このジレンマは永遠の課題でした。 モデルのトレーニングや推論を高速化するにはC++やCUDAが必要ですが、学習コストが高すぎます。
そこで登場したのが Mojo です。 Swiftの生みの親であるChris Lattner氏らが開発し、「Pythonのスーパーセット(上位互換)」 を目指して設計されました。
2025年現在、Mojoは標準ライブラリのオープンソース化が進み、pip で簡単にインストールできるようになるなど、実用性が飛躍的に向上しています。
Mojoの衝撃的な特徴
- Python互換: Pythonの構文がそのまま使え、既存のPythonライブラリ(NumPy, Pandasなど)もインポート可能です。
- 爆速: C++並み、あるいはそれ以上の速度が出ます(Python比で最大35,000倍というベンチマークも)。
- システムプログラミング: メモリ管理や並列処理を細かく制御できます。
最短で課題解決する一冊
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実践:Mojoでマンデルブロ集合を計算する
PythonとMojoで、計算負荷の高い処理(マンデルブロ集合の計算)を比較してみましょう。
1. インストール
2025年現在、Mojoは pip で導入可能です(※環境によりますが、ここでは一般的な導入例を示します)。
pip install mojo2. Mojoコードの実装 (hello.mojo)
Mojoには2つの関数定義があります。
def: Python互換の動的な関数fn: 型チェックとメモリ管理が厳密な、高速な関数
from python import Python
fn mandelbrot_kernel(c: ComplexSIMD[DType.float64, 1]) -> Int:
var z = c
for i in range(200):
if z.squared_norm() > 4:
return i
z = z * z + c
return 200
fn main() raises:
# Pythonのライブラリをそのまま使える!
var np = Python.import_module("numpy")
var plt = Python.import_module("matplotlib.pyplot")
print("Computing Mandelbrot set...")
# ...(ここに高速な計算ロジックが入る)...
print("Done!")3. Pythonとの連携
Mojoの最大の強みは、「Pythonのエコシステムを捨てなくていい」 ことです。
重い計算処理だけをMojoの fn で書き、データの可視化や前処理は使い慣れたPythonライブラリ(Matplotlibなど)をそのまま呼び出すことができます。
# MojoからPythonのオブジェクトを操作
var py_list = Python.evaluate("[1, 2, 3]")
print(py_list)さらに理解を深める参考書
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なぜ速いのか?
Mojoは MLIR (Multi-Level Intermediate Representation) という最新のコンパイラ基盤の上に構築されています。 これにより、CPU、GPU、TPUなどのハードウェア特性を極限まで引き出す最適化が可能になります。
また、struct によるメモリレイアウトの制御や、SIMD(Single Instruction, Multiple Data)命令の直接利用など、C++レベルのチューニングがPythonライブラリのような書き味で実現できます。
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まとめ
Mojoは、Pythonを「置き換える」ものではなく、「Pythonを完成させる」 言語です。
プロトタイピングはPython(def)で、ボトルネックが見つかったらMojo(fn)で最適化する。
このシームレスな移行こそが、2025年のAI開発の新しいスタンダードになりつつあります。
「Pythonの速度に限界を感じているが、C++は書きたくない」 そんなあなたこそ、今すぐMojoを触るべきです。
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