Node.jsはもう要らない？Deno 2.0で始める次世代TypeScript開発

Denoが「本気」になった

「TypeScriptをそのまま実行できる」「セキュリティファースト」という理念で登場したDeno。 しかし、npmエコシステムとの互換性の低さから、実務での採用は限定的でした。

それが、Deno 2.0で劇的に変わりました。

2024年10月にリリースされたDeno 2.0は、完全なNode.js/npm互換性を実現し、ついに「Node.jsの代替」としての本格的な選択肢となったのです。

Deno 2.0がNode.jsより優れている点

1. TypeScriptが「標準」

Node.jsでTypeScriptを使うには、tscやts-node、ビルド設定など、面倒なセットアップが必要です。 Denoなら、何も設定せずに.tsファイルを直接実行できます。

# Node.jsの場合
npm install -D typescript ts-node @types/node
npx tsc --init
# tsconfig.jsonの設定...
npx ts-node app.ts

# Denoの場合
deno run app.ts  # これだけ！

2. npmパッケージがそのまま使える

Deno 2.0では、package.jsonとnode_modulesを完全にサポート。 既存のNode.jsプロジェクトがほぼそのまま動きます。

// npm: プレフィックスで直接インポート
import express from "npm:express@4";
import { PrismaClient } from "npm:@prisma/client";

const app = express();
const prisma = new PrismaClient();

app.get("/", (req, res) => {
  res.send("Denoで動くExpressアプリ！");
});

app.listen(3000);

3. セキュリティがデフォルト

Node.jsは全てのファイルシステム・ネットワークへのアクセスが許可されています。 Denoは明示的に許可しない限り、外部リソースにアクセスできません。

# ネットワークとファイルアクセスを許可
deno run --allow-net --allow-read app.ts

# 特定のドメインのみ許可
deno run --allow-net=api.example.com app.ts

実践：Node.jsプロジェクトをDenoに移行する

既存のExpressアプリをDenoに移行してみましょう。

ステップ1: Denoのインストール

# macOS/Linux
curl -fsSL https://deno.land/install.sh | sh

# Windows
irm https://deno.land/install.ps1 | iex

ステップ2: package.jsonはそのまま使える

既存のpackage.jsonがある場合、Denoはそれを理解します。

{
  "name": "my-app",
  "type": "module",
  "dependencies": {
    "express": "^4.18.0"
  }
}

ステップ3: 実行

# package.jsonの依存関係を自動解決して実行
deno run --allow-net --allow-read app.ts

Next.js、Astroも動く！

Deno 2.0では、主要なJavaScriptフレームワークが公式サポートされています。

# Next.jsプロジェクトをDenoで実行
deno task dev

# Astroプロジェクトも同様に
deno run --allow-all npm:astro dev

DenoとNode.js、結局どちらを選ぶべきか？

Denoを選ぶべき場合

• 新規プロジェクト（TypeScript前提）
• セキュリティが重要な用途
• シンプルなツールチェーンが好み
• Deno Deployなどのエッジランタイムを活用したい

Node.jsを選ぶべき場合

• 大規模な既存プロジェクト（移行コストが高い）
• DenoでサポートされていないNode.js特有のAPIに強く依存している
• チーム全体がNode.jsに習熟している

まとめ

Deno 2.0の登場により、「TypeScriptネイティブ」かつ「Node.js互換」という、夢のような環境が現実になりました。

もはや「Node.jsかDenoか」という二択ではなく、**「プロジェクトごとに最適なランタイムを選ぶ」**時代になったのです。

新規プロジェクトを始めるなら、一度Denoを試してみる価値は十分にあります。 TypeScriptの設定ファイルとにらめっこする日々から、あなたも解放されませんか？