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Astro 4.0実践ガイド:アイランドアーキテクチャで高速なWebサイトを構築する【2025年版】

パフォーマンス重視のWeb開発で注目のフレームワーク「Astro」を徹底解説。アイランドアーキテクチャの概念から、ReactやSvelteとの連携、View Transitionsによる高度な画面遷移までを実践的に学びます。

時計のアイコン19 September, 2025
TH

Tasuke Hub管理人

東証プライム市場上場企業エンジニア

情報系修士卒業後、大手IT企業にてフルスタックエンジニアとして活躍。 Webアプリケーション開発からクラウドインフラ構築まで幅広い技術に精通し、 複数のプロジェクトでリードエンジニアを担当。 技術ブログやオープンソースへの貢献を通じて、日本のIT技術コミュニティに積極的に関わっている。

🎓情報系修士🏢東証プライム上場企業💻フルスタックエンジニア📝技術ブログ執筆者

はじめに:Astroとは? なぜ速いのか?

Next.jsやSvelteKitなどのフロントエンドフレームワークがSPA(Single Page Application)をリッチに構築する方向で進化する一方、ブログ、ポートフォリオ、ドキュメントサイトといったコンテンツ主体のWebサイトに最適化されたフレームワークとして急速に人気を高めているのがAstroです。

Astroの最大の特徴は、そのパフォーマンスへの徹底したこだわりにあります。これを実現しているのが**アイランドアーキテクチャ(Islands Architecture)**という考え方です。

  • デフォルトでJavaScriptゼロ: Astroは、ビルド時にUIコンポーネントをHTMLとCSSにレンダリングします。ブラウザに送信されるのは純粋なHTMLとCSSだけで、JavaScriptは一切含まれません。これにより、ページの表示速度が劇的に向上します。
  • インタラクティブな部分だけを「島(Island)」として読み込む: ページの中で動的な機能が必要な部分(例:画像カルーセル、ハンバーガーメニュー、検索フォームなど)だけを、独立した「島」として扱います。これらの「島」に対応するJavaScriptのみがブラウザに送信され、ハイドレーション(静的なHTMLを動的にすること)が行われます。

このアプローチにより、Astroは「速さがデフォルト」のWebサイト構築を実現します。本記事では、Astro 4.0をベースに、基本的なサイト構築からインタラクティブな機能の実装までを解説します。

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開発環境のセットアップとプロジェクト作成

Astroのプロジェクトは、npmコマンド一つで簡単に始められます。

# 新しいAstroプロジェクトを作成
npm create astro@latest

コマンドを実行すると、プロジェクト名、テンプレート(「Empty」や「Blog」など)、TypeScriptの使用などを対話形式で設定できます。ここでは「Empty」を選択して、ゼロから構築してみましょう。

cd my-astro-project
npm run dev

npm run devで開発サーバーが起動し、http://localhost:4321でページを確認できます。

さらに理解を深める参考書

関連記事と相性の良い実践ガイドです。手元に置いて反復しながら進めてみてください。

ステップ1:Astroコンポーネントとレイアウトの作成

AstroのUIは、.astroという拡張子を持つAstroコンポーネントで構築します。これはHTMLに似ていますが、コンポーネントスクリプトとUIテンプレートという2つの部分で構成されます。

--- 
// src/components/Header.astro
// ---で囲まれた部分がコンポーネントスクリプト(サーバーサイドで実行)
const { title } = Astro.props;
---
<header>
  <h1>{title}</h1>
  <nav>
    <a href="/">Home</a>
    <a href="/about">About</a>
  </nav>
</header>
<style>
  h1 {
    color: red;
  }
</style>

複数のページで共通のHTML構造を再利用するために、レイアウトを作成します。

--- 
// src/layouts/BaseLayout.astro
import Header from '../components/Header.astro';
const { pageTitle } = Astro.props;
---
<html lang="en">
<head>
  <meta charset="utf-8" />
  <title>{pageTitle}</title>
</head>
<body>
  <Header title={pageTitle} />
  <main>
    <slot /> <!-- ここに各ページの内容が挿入される -->
  </main>
</body>
</html>

そして、src/pages/index.astroでこのレイアウトを使います。

--- 
// src/pages/index.astro
import BaseLayout from '../layouts/BaseLayout.astro';
---
<BaseLayout pageTitle="Home Page">
  <p>Welcome to my Astro site!</p>
</BaseLayout>

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ステップ2:コンテンツの追加(Markdownとコンテンツコレクション)

Astroは、MarkdownやMDXを使ったコンテンツ作成を強力にサポートしています。

src/pages/posts/ディレクトリにpost-1.mdのようなMarkdownファイルを置くだけで、自動的に/posts/post-1というページが生成されます。

さらにAstro 2.0から導入されたコンテンツコレクションは、複数のMarkdownファイル(ブログ記事など)を型安全に扱うための仕組みです。

  1. src/content/config.tsでコレクションのスキーマを定義します。
    // src/content/config.ts
    import { defineCollection, z } from 'astro:content';
    
    const blogCollection = defineCollection({
      schema: z.object({
        title: z.string(),
        pubDate: z.date(),
        author: z.string(),
      }),
    });
    
    export const collections = {
      'blog': blogCollection,
    };
  2. src/content/blog/ディレクトリにMarkdownファイルを配置します。
  3. 動的ルーティングページ(src/pages/blog/[...slug].astro)で、getCollectionを使ってコンテンツを取得し、ページを生成します。

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ステップ3:インタラクティブなUIの追加(Astroアイランド)

静的なコンテンツだけでは物足りない場合、ReactやSvelte、VueなどのUIフレームワークを使ってインタラクティブなコンポーネント(アイランド)を追加できます。

ここではReactを例に説明します。

  1. Reactインテグレーションの追加:
    npx astro add react
  2. Reactコンポーネントの作成:
    // src/components/Counter.jsx
    import { useState } from 'react';
    
    export default function Counter() {
      const [count, setCount] = useState(0);
      return (
        <div>
          <p>Count: {count}</p>
          <button onClick={() => setCount(count + 1)}>Increment</button>
        </div>
      );
    }
  3. Astroコンポーネントでの利用: .astroファイル内でReactコンポーネントをインポートし、クライアントディレクティブを付けて使用します。 ```astro

    // src/pages/index.astro import BaseLayout from '../layouts/BaseLayout.astro'; import Counter from '../components/Counter.jsx';

    Welcome to my Astro site!

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Interactive Counter

```
  • client:load: このディレクティブが、このコンポーネントを「アイランド」として扱うための鍵です。ページの読み込みと同時にJavaScriptが読み込まれ、コンポーネントがインタラクティブになります。

他にも、以下のようなディレクティブがあります。

  • client:idle: ページの初期読み込みが完了した後にJavaScriptを読み込みます。(優先度の低いUI向け)
  • client:visible: コンポーネントがビューポートに入った時にJavaScriptを読み込みます。(画面下部のUI向け)

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ステップ4:View Transitionsによるシームレスな画面遷移

Astro 3.0から導入されたView Transitions APIのサポートにより、MPA(Multi-Page Application)でありながら、SPAのような滑らかな画面遷移を簡単に実装できます。

src/layouts/BaseLayout.astro<head>タグ内に、ViewTransitionsコンポーネントを一行追加するだけです。

--- 
// src/layouts/BaseLayout.astro
import { ViewTransitions } from 'astro:transitions';
// ...
---
<html lang="en">
<head>
  <ViewTransitions />
  <title>{pageTitle}</title>
</head>
<body>
  // ...
</body>
</html>

これだけで、ページ間を移動する際に、デフォルトのフェードイン・フェードアウトアニメーションが適用されます。特定の要素に名前を付けて、より複雑な遷移アニメーションを定義することも可能です。

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まとめ:コンテンツ主体のサイトに最適な選択肢

Astroは、そのユニークなアイランドアーキテクチャにより、他のフレームワークとは一線を画す圧倒的なパフォーマンスを実現します。

  • ブログ、ドキュメント、マーケティングサイトなど、パフォーマンスがSEOやユーザー体験に直結するサイトに最適です。
  • React, Svelte, Vueなど、好みのUIフレームワークを必要な部分だけシームレスに統合できます。
  • View Transitionsにより、MPAの堅牢性とSPAの滑らかなUXを両立できます。

アプリケーション全体が高度にインタラクティブである必要があるSPAにはNext.jsなどが依然として適していますが、「速さ」が最優先事項である多くのWebサイトにとって、Astroは非常に強力で魅力的な選択肢となるでしょう。

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