はじめに
2025年、ソフトウェア開発の世界ではAIの活用が当たり前になりました。GitHub Copilotのような補完ツールはもはや標準装備となりつつありますが、その一歩先を行く「AI-first」な開発環境として、Cursorが急速に存在感を高めています。
Cursorは単なるAI補完ツールを統合したエディタではありません。AIが開発ワークフローの中心に深く組み込まれ、コードの生成、編集、リファクタリング、デバッグ、レビューといったあらゆる場面で開発者を強力に支援する、次世代のコードエディタです。
この記事は、Cursorの導入を検討している方、特に長年Visual Studio Code (VS Code) に親しんできた開発者に向けて、その核心的な機能、VS Codeとの違い、スムーズな移行方法、そしてCursorの真価を最大限に引き出すための効果的な使い方まで、2025年9月時点の最新情報を盛り込んで徹底的に解説する完全ガイドです。
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Cursorとは何か? VS Codeとの関係
Cursorを理解する上で最も重要な点は、CursorがVS Codeの高速なフォークであるということです。これは、以下のような大きなメリットをもたらします。
- 使い慣れたUI/UX: 見た目や操作感はVS Codeとほぼ同じです。ファイルツリー、ターミナル、コマンドパレットなど、全てが馴染み深い場所にあります。
- 拡張機能の互換性: あなたが愛用しているVS Codeのテーマ、キーバインド、そしてVimやPrettierといった拡張機能のほとんどが、そのままCursorで動作します。
つまり、学習コストを最小限に抑え、スムーズに移行できるのです。
では、何が違うのか? 本質的な違いは、AI機能がエディタのコアに深く、そして有機的に統合されている点にあります。VS Codeに拡張機能としてAIツールを追加するのとは、全く異なるレベルの体験を提供します。
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Cursorの核心的AI機能【2025年最新版】
Cursorの真価は、その強力なAI機能にあります。ここでは主要な機能を具体的に見ていきましょう。
1. Cmd+K (Ctrl+K) によるインライン編集
最も頻繁に使うことになるであろう機能が、自然言語によるインライン編集です。コード内の任意の部分を選択し、Cmd+K(Windows/LinuxではCtrl+K)を押すと表示されるプロンプトに、やりたいことを書くだけです。
使用例:
// この関数を選択して Cmd+K
// プロンプト: "Add error handling with a try-catch block. If an error occurs, log the error to the console and return null."
function fetchUserData(userId) {
const response = await fetch(`https://api.example.com/users/${userId}`);
const data = await response.json();
return data;
}Cursorは指示を理解し、以下のようなコードを提案します。変更はDiff形式で表示され、承認するだけでコードが更新されます。
// AIによる提案
async function fetchUserData(userId) {
try {
const response = await fetch(`https://api.example.com/users/${userId}`);
if (!response.ok) {
throw new Error(`HTTP error! status: ${response.status}`);
}
const data = await response.json();
return data;
} catch (error) {
console.error("Failed to fetch user data:", error);
return null;
}
}2. @シンボルによるコードベース参照
Cursorが他のAIツールと一線を画す、最も強力な機能の一つです。チャットやCmd+Kのプロンプト内で@を入力すると、プロジェクト内のファイルやシンボル(関数、クラスなど)をAIの文脈に含めることができます。
@<ファイル名>: 特定のファイルの内容を文脈として与える。@<シンボル名>: 特定の関数やクラスの定義を文脈として与える。
使用例:
api/routes.tsで定義されているAPIエンドポイントを参考に、新しいエンドポイントのテストを書きたい場合、チャットに以下のように入力します。
@api/routes.ts と @tests/api.test.ts を参考にして、/products` エンドポイントの新しいテストケースを作成してください。在庫がない場合に404エラーが返ることを確認するテストが必要です。
Cursorは指定されたファイルの内容を完全に理解した上で、的確なテストコードを生成します。これにより、ファイル間を何度も行き来する必要がなくなります。
3. AIチャット(マルチモデル対応)
サイドバーにはAIとのチャットパネルが常駐しています。一般的なプログラミングの質問から、@シンボルを使ったコードベースに関する複雑な質問まで、あらゆる相談が可能です。Proプランでは、GPT-4oやClaude 3 Opusなど、最新・最強のAIモデルを切り替えて使用することもできます。
4. "Fix & Diff" によるAIデバッグ
ターミナルに表示されたエラーメッセージの横には、Cursorによって自動的に「Fix & Diff」ボタンが表示されます。これをクリックすると、AIがエラーの原因を分析し、修正案をDiff形式で提案してくれます。スタックトレースを読んで原因箇所を探し、修正するという一連の作業を大幅に短縮できます。
5. .cursorrulesによるカスタムAIレビュー
リポジトリのルートに.cursorrulesというファイルを作成することで、AIによるコードレビューのルールを定義できます。例えば、「コミットメッセージはConventional Commitsの規約に従うこと」「console.logは本番コードに残さないこと」といったルールを記述しておけば、AIがそれに従ってレビューや修正を行ってくれます。これにより、チーム全体のコード品質と一貫性を高めることができます。
VS Codeからのスムーズな移行ガイド
- インストール: Cursor公式サイトから、お使いのOS用のインストーラーをダウンロードして実行します。
- 設定の同期: 初回起動時に、VS Codeから設定をインポートするか尋ねられます。ここでインポートを選択すれば、既存の環境がほぼ再現されます。また、VS Codeで「Settings Sync」を有効にしている場合、同じMicrosoft/GitHubアカウントでログインすれば、設定は自動的に同期されます。
- 拡張機能: ほとんどのVS Code拡張機能は、Cursorの拡張機能マーケットプレイスから問題なくインストール・使用できます。
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料金体系(2025年9月時点)
Cursorには無料プランと有料プランがあります。
- Freeプラン: 基本的なAI機能を無料で利用できますが、GPT-4oのような高速・高精度なモデルの使用回数に制限があります。まずはCursorの使い勝手を試すのに最適です。
- Proプラン: 月額$20程度で、GPT-4oやClaude 3 Opusを含む全てのAIモデルを無制限に利用できます。また、より多くのファイルを
@で参照できるなど、ヘビーに使うための機能が解放されます。 - Businessプラン: チーム向けの管理機能などが追加されます。
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まとめ:コーディングの未来を今すぐ体験しよう
Cursorは、AIを単なる補助輪ではなく、開発の「副操縦士」として昇華させた、まさに次世代のコードエディタです。VS Codeの資産を活かしつつ、AIの力を最大限に引き出すその設計思想は、今後のコーディングスタイルのスタンダードになる可能性を秘めています。
特に、コードベース全体を文脈として理解する@機能は、大規模で複雑なプロジェクトに取り組む開発者にとって、計り知れないほどの生産性向上をもたらすでしょう。
AIがまだ完璧ではなく、時折意図しないコードを生成することもありますが、それを差し引いても、Cursorがもたらすメリットは絶大です。まだ体験したことがない方は、ぜひこの機会にインストールし、まずは無料プランからでもその実力を試してみてください。あなたの開発ワークフローが、根底から変わるかもしれません。
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